さわって「色」がわかるタグ、「いろポチ」を開発

近藤智美公式ブログ・さわって「色」がわかるタグ、「いろポチ」を開発

こんにちは。NPO法人CLE協会(色彩生涯教育協会)のマジカルカラーリスト、近藤智美です。

少し前にも、ユニバーサルデザインのことについて触れましたが、高齢になる、障害がある、など、日常の生活において、スムーズに活動できない、不安があるなど、生活しづらい点がある人がいます。それをひとつずつ解消して、多くの人が気持ちよく暮らしていけるような社会にするのに、色は力になるはずだと思います。

では、色が見えない場合はどうなのだろう、と思っていたところ、ちゃんとそういう人たちのためのことを思って研究し、商品開発をしているところがあるのだ、というのを見つけましたので、シェアしますね。

海外での状況を知っているわけではありませんが、日本の会社もがんばっているんだなぁとあらためて嬉しくなりました。

触覚カラータグの開発

日本女子大学被服学科において、全盲視覚障害者が衣服の色を識別するための「触覚カラータグ」が研究開発されました。

このタグは、佐川賢・色彩環境学研究室(2013年度)において、社会福祉法人日本点字図書館と株式会社フクイの協力を得て研究開発したものです。

製品名も「いろポチ」といいます。かわいらしい名前ですよね。

全盲視覚障害者の多くは色彩について関心があり、視覚的に把握はできないものの、色彩を理解し、イメージする手段や知識を欲し、また配色や色の属性(明度、彩度など)について知りたいという考えをもっています。

特に、衣服の配色を気にしている人が多いのです。アンケートによると、色名を家族や店員に尋ね、自身で想像をし、また似合っているかを検討してもらい、決めているのだそうです。

このように、たとえ視覚情報のない生活を送っていても、色名を知り、様々な配色をイメージすることを日常的に行っていることにより、色の類似性や配色に関する知識を自然に得ているところもあります。

このようなタグがあることで、視覚障害者に色情報を伝え、衣服のコーディネートを楽しんで欲しいという思いから、開発されました。

視覚障害者は全国で約30万人、後天的視覚障害者まで含めると100万人いると言われています。

購入のときもそうですが、毎日洋服を着ますから、タグをさわって自分で判断できるようになったら、自立してできる行動がひとつ増えますよね。

触覚タグの基本パターン。図は黄色を示すタグ。内円は薄い色を表す。03

言語に頼らず色を認識できるように

目の不自由な方が「触って色を認識できるタグ」と聞けば、点字で色の名前を表記すると想像されるのではないでしょうか。

佐川博士の研究してきた触覚タグは、点字表記ではないのです。

色彩の情報を「マンセル色相環」に沿って円形に配置し、対象となる色を示す部分に指先で感じることができる目印を置くというものです。

これにより、色同士の関係性を直感的に理解でき、晴眼者と色の概念を共有したり、類似色を理解して洋服のコーディネイトに活用することができるのです。

近藤智美公式ブログ・さわって「色」がわかるタグ、「いろポチ」を開発02触覚タグの基本パターン。図は黄色を示すタグ。内円は薄い色を表す。

佐川博士の実験によると、先天的全盲視覚障害者のもつ色の理解(青と赤は遠い関係・赤は熱い印象を持ち、橙は暖かい印象など)をマッピングしていくと、ほぼマンセル色相環に重なることがわかりました。

全盲の方であっても晴眼者と同様に色を色相環で理解できるということが研究によってわかったので、色を表示する方法として、点字よりも言語的に「バリアフリー」であるということなのです。

誰もがコーディネイトを楽しめるように…

タグの開発に向けての最初の難関は、指先ではっきり感じ取れる形状を、タグの上にどう作るかでした。

次々に試作を重ね、最終的に、凸点は厚盛プリント、対称色を示す箇所はレーザーで穴をあけるのが一番判別しやすいことがわかりました。

「いろポチ」は点字による色判別ではないため、どこの国でも使えます。

世界のスタンダードに向けて、すべての服に「いろポチ」のタグがついているといいなぁと思いました。

色やおしゃれを楽しむことで、ひとりでも多くの人が幸せを感じて、豊かな社会を共有できる未来・・・近いうちに実現になるのではないでしょうか。楽しみです。
参考文献
1)奥寺沙織、佐川 賢:全盲視覚障害者の色彩心理構造-全盲視覚障害者に衣服の色を伝えるために-、日本女子大学紀要 家政学部第61号(2014)

2)フクイ物語 開発秘話vol.5 いろポチ
http://www.fukui-labs.jp/story/story05.php


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