色覚異常者の見えにくさではなく、見えやすさを利用する!

近藤智美公式ブログ・色覚異常者の見えにくさではなく、見えやすさを利用する!05

こんにちは。NPO法人CLE協会(色彩生涯教育協会)のマジカルカラーリスト、近藤智美です。

ユニバーサルデザインという言葉を聞いたことはありますか。ユニバーサルデザインというのは、文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいいます。

今日は、そのなかでも、色彩に特化したユニバーサルデザインの紹介をしますね。

色覚バリアフリー

私は身近に色覚異常の方がいたので、自分と同じように色が見えない人がいるのだなという認識があります。見え方を聞くと、同じように感じるものと違うように感じるものがあって、その微妙な色の違いによって、「情報を同じように理解する」ことが必要なときには、色の情報だけでは十分じゃないのだ、と思っていました。

「色のみに頼ったプレゼンテーション」は、誰にでも優しい「ユニバーサルデザイン」ではありません。情報をより多くの人に正確に伝えるためには、「色覚バリアフリー化」というものが求められています。

現在、今後新設される信号は、基本的にLED製となります。LED製になることで、省エネ、長寿命、西日擬似点灯など、多くの問題が解決して利点ばかりかとおもいきや、色覚障害のある人(色弱者)には、電球式と比べ、より一層判別がつきにくくなったのだという弱点がありました。

色覚障害の中でもっとも多いのは「赤系統から緑系統への識別が難しい」のです。

これまでの電球形式の信号機では、色そのものではなく、信号機の明るさで見分けることができました。

LEDの場合は、どの色もほとんど同じ明るさとなってしまう(揃えられている)ため、明るさでの識別が困難になってしまいます。特に、黄色と赤が区別しにくいということですが、黄色と赤ほど見分けがつかないと、事故につながってしまいます!!

強みを活かしたユニバーサルデザインの進化形

そこで、九州産業大学の落合太郎・芸術学部デザイン学科教授が生み出したのが、「LED車両専用道路交通信号灯(ユニバーサルデザイン)」です。

赤信号の赤の部分に少々青みを加えて少々紫っぽく見せるとともに、より一層青を加えて紫傾向の強い赤色で、バツ印の形にLEDを埋め込んであります。

これによって、色覚異常者にはこの×がくっきり見えるのです。一般の人には、100mも離れると×が見えなくなります。

↓は、一般の人が見た信号の様子です。

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↓は色覚異常の人がみたシミュレーションです。黄と赤が同じように見えますが、×印で区別することができます。

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世界的には、信号灯の周辺に発光帯を巻いて信号の位置が判るようにするか、信号の明るさを変えるという方法がとられています。

信号の形を変えるという方法もありますが、遠方からでは見分けにくいという欠点が指摘されています。

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なので、×を入れるというのは、色彩論と記号論を組み合わせて、しかも国際基準である「100mの距離から色が判る」という点に留意していて、ユニバーサルデザイン性が高められていると言えるのです。

×は「止まれ」を表す国際記号ですから、「初めて見た人」にもすぐに「意味がわかる」というのがいいですね。

逆転発想がポイント!

色覚異常の方は、日本人男性では20人に1人、女性では、500人に1人程度といわれています。

色覚異常者の存在に配慮して、信号灯の緑色はやや青色よりに設定されていますが、黄色と赤色の区別は困難とされています。従来の電球式にあった「透明感と明るさの違い」というヒントがなくなり、色覚異常者にはいっそう判り難くなっていました。

いちばんのポイントは、「色覚異常者にだけ×が見える」という逆転発想なのです。

それにより、「必要な情報が必要な人にだけ届く」というユニバーサルデザイン信号灯が開発された、というのは大きな意味があると思います。

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて

色覚異常者は、特に夜間など判別の困難を伴うため、運転免許の取得に制限をかけようという動きもあるそうです。でも、これでは社会差別になります。

それよりも、今使っているものを改善し、過度に色彩に依存しないような進化する社会デザイン「色彩バリアフリー化」に注力すべきなのでしょうね。

信号機はそのひとつの動きだと思います。次世代ユニバーサルデザイン化は、安易に人を排除するのではなく、インフラのほうで寄り添っていくべき視点に立脚していくことが重要視されてきそうです。

人にやさしい色づかいができる社会の実現ですね。


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